ハワイの歴史・文化

2.選ばれし特別な者「カフナ」

ヘイアウ(神殿・寺院 heiau)の建設や儀式、階級制度で出てきたカフナ(kahuna)ですが、ハワイアン文化を築く上で重要な役割を持っていました。では、カフナの役割とはどのようなものだったのでしょうか。

 

2-1.カフナって何?

カフナは階級制度でアリイ(王族 ali'I)の次の位に位置し、神官としての社会的な役割が有名ですが、様々な分野の職業における達人も皆カフナと呼ばれていました。 

カフナはハワイ諸島に人々が移住し信仰を始めた時からずっと、神々と人間を取り持つ役割をしてきました。そのカフナの特徴はあらゆるマナ(mana)(※)を操ることができることでした。

 

※マナ…世界に存在するものすべてに宿るエネルギーを意味します。(自然界の動植物、人間、物質、光、空気など)  

 

何をする人たち?

 カフナ達は大きく4つの分野に分けられ、それぞれに役割がありました。

①神官

神官の中でも一番高い地位はカフナ・ヌイ(kahuna nui)で、酋長の顧問として絶大なる権力を持ち、預言者カフナ・カウラ(Kahuna Kaula)は非常に正確な預言をしたといわれています。

② 医者

病気や怪我の治療だけでなく、マッサージや心の治療もするヒーラーでした。その中でもカフナ・ラパアウ(Kahuna Lapaau)は初めに薬草の基礎を学び、基本的な知識を覚えてから他のヒーリングや高度な技術を学ぶなどして、現在の医療のようなことも行っていたようです。

このカフナは患者の体の中で、マナ(※)の弱った部分を見分けることができたそうです。

③ 職人

カヌー造りやキィ(偶像・彫刻 Ki'i)、建築、サーフィンなどの熟練されたスキルを持った職人たちです。

④ 呪術者

主に酋長の依頼で暗殺を引き受ける集団でした。

 

誰がなれるの?

カフナになる者は、生まれた時から素質である強いマナ(※7)を見抜かれ、職種(方向性)が決められました。ただし、職種に就くための訓練を怠けたり、それを放棄するとアクア(自然界の神々 akua)によってマナ(※7)が奪われてしまったそうです。通常はカフナの家系(職業の家系)があって代々秘伝として受け継がれていきました。

 

どうやったらなれるの?

生まれつき強いマナ(※)を持っていても、20年以上もの訓練や学習を必要とし、その上でカフナとしての儀式を受ける資格が与えられるもので、ある年数を過ぎたら自動的にカフナになれるものではなかったようです。

学びの始まりはすべての基本になるプレ(祈り pule)を記憶し、マナ(※)の操り方を修得することです。このように実践から入り、職業ごとの本質を理解し習得するまでは、質問は出来ず、説明なども一切してもらえなかったそうです。従って、見よう見まねで師匠から技を盗まなくてはなりませんでした。

カフナは主に家系での伝承だったので、日々の生活が、技術と同時に考え方や心の在り方なども身につける修行の場でした。

また、ハワイ語のアロハ(aloha)(※9)のアルファベット一つ一つには(注意を払う、統一する、真実、謙遜、忍耐)などの意味があり、カフナになるための修行の行程で必要なことや、カフナになってからも信仰する神々と通じるために、理解しなければいけない意味合いが込められているとされています。

 

 

2-2. 歴史に大きな影響を与えたカフナたち

 

【パーアオPa'ao】

12世紀頃、様々な職業の人を連れてカヌーでタヒチから移住してきた高僧で、ハワイにカプ(禁制 kapu)や階級制度を持込みました。それによりハワイの人たちの社会構造は厳しいカプによって平民を統治する階級制度に変化していきました。パーアオがハワイ島に造ったモオキニ・ヘイアウ(Mookini heiau)は、今でもモオキニ族が管理をしているそうです。

 

【ヘヴァヘヴァHewahewa】

カプ制度をハワイに持ち込んだパーアオの直系で、王朝のカフナ・ヌイ(政治をサポートする役割 kahuna nui)でしたが、1819年、初の女性摂政カアフマヌ(Kaahumanu)と共に、ヘイアウ(神殿・寺院 heiau)の破壊やキイ(偶像・彫刻 Ki'i)の投棄、カプ制度の廃止に直接たずさわりました。古来の宗教はなくなり彼のカフナとしての地位や権利もなくなりました。また、この時の女性摂政カアフマヌは、わずかな過ちも死で償うことや、女性に対しての厳しいカプ制度はおかしいと思い、自らカプを破り、それでも神の怒りに触れないことを証明してみせたそうです。

 

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